こんにちは、R65不動産の山本です。
昔、弊社のお世話になっている大家さんの物件で、入居者が亡くなりました。
40代の方でした。
本記事は、孤独死が起こったとき、対応した私自身の経験をもとに起こった、不動産会社(私たち)としての仕事、家族として動いてもらったこと、大家さんが負担した部分について、お話いたします。
・独居のご家族がいる方
・物件を持つオーナーさん
・不動産管理会社さん
に向けて書いています。
※ ご遺族の方に配慮し、一部省略して御伝えしております。
1.ある日突然、警察から電話がかかってくる
「こんにちは、◯◯警察署です。△△という住所の建物を管理されているのは御社でしょうか、実はこちらでご遺体が見つかりまして」
その後、事実確認のため、いつ頃から住んでいたか、他に住んでいた人はいるか、直近でいつ連絡をとったか、滞納などはなかったか、ということを確認されます。
2.発見が遅いと身元不明遺体となる
今回は、残念ながら発見が遅く身元が不明だったため、本人かどうかを検証し、また殺人などの事件性がないか、調査に入ります。
滞納の有無を聞かれたのも、不動産会社である弊社や大家さんが入居者とトラブルになっていないか、ということを検証しているため、聞いているようでした。
弊社、R65不動産(株式会社R65)は、高齢者の入居を専門とする不動産会社で、高齢者が入居している部屋には、保険や見守りをつけております。
が、まさか40代という、この若さで亡くなるとは思っていなかったので、何も準備が無いままでした。
また、この時点で、ご遺体は警察の方で一時預りになっております。
こちらも事件性がないかの確認・検死のため、一時的に警察でご遺体の保管になりました。
ちなみに、ご遺体がすぐ発見された場合でも、第一発見者の事情聴取が大変なので、警察立会の元、解錠の方がその後の流れがスムーズになると感じました。
3.ご遺族に連絡、中の家財について確認
今回は、大家さんが一日も早く特殊清掃を入れたい、とのことでお話でしたので、入居者さんご家族と調整しました。
この際のご連絡先は、警察の方が先方の確認をとった上で取り次いで下さったため、大変スムーズでした。
中の家財については、相続財産に当たるので、相続人の同意が必要です。
また金品などが出て来た場合、大家さんや管理会社さんに請求が来る場合があります。
今回は、
・ 検死のため、免許証・通帳・財布など貴重品が警察預りになっていること
・ 入居者親族から書面をもらい入居者親族からの業者へ処分、という扱いにしたこと
で、中の家財は撤去ができました。
家族の同意が取れないと、相続権の兼ね合いから片付けることができないままになっていたので、警察の方が取り次いでくださって本当に助かりました。
4.孤独死後のお金は誰が払う?
多くの場合、ご家族にまず請求がいきます。
(他の不動産会社に聞くと、特殊清掃代や残置物処理代をどちらが払うかトラブルになることが多いようです。)
ご家族を亡くされた遺族へ管理会社から請求するのは大変心苦しさがありました。
またご遺族からすると、今まで連絡をとらず、縁を切ったと思っていたのに、突然のご連絡で亡くなった、と聞きいきなり血縁という理由でお金を請求されることも、ありますので、ご家族が独居の場合は特に注意が必要です。
<入居者さんへ>
独居で賃貸に住んでいる場合は、家族と縁は切った、ということあればなおさら入居者さん側で払う保険もあるので、そちらにご加入頂くことをオススメします。(縁を切った、と言われている血縁にはもれなくご連絡がいきます。)
<管理会社さんへ>
近年だと、連帯保証人を取らなくなり、保証会社で対応することも多いのですが、その場合、親族と連絡がとりにくくなるので、管理会社の手間は非常に大きくなります。孤独死の場合の保証のついた保証会社に加入することをお勧めいたします。
<大家さんへ>
また、大家さんには、孤独死の保険や家財保険の孤独死特約のついた保険に入るのをお勧めします。月額300円程度です。
5.孤独死が発生した場合の請求金額
ざっくりとした金額ですが、だいたい1度の孤独死で発生する料金は100万円程度です。内訳はバラバラとしていますが、残置物の処理で30万、特殊清掃で70~150万円かかります。
特殊清掃の金額は、発見までの日数が長い程、金額が高くなり、残置物の処理については広さと荷物の量によって、大きく異なります。
ゴミ屋敷になってしまった家で孤独死があった場合は、今までで最大500万円の請求があった、というお話を他の不動産会社さんから伺いました。
できれば見守りをいれる、定期巡回する、など何かおかしいな、と思ったことについて、気づける仕組みが必要だと感じます。
6.孤独死が発生した賃貸住宅は事故物件なのか
実は、賃貸住宅の中で亡くなられた場合、自然死だった場合に事故物件扱いになるかどうか(心理的瑕疵があるか)は明確に定義されていません。
これは長年議論されていることですが、
・ 死後すぐ発見(極論1秒後に発見)の場合は事故なのか
・ 家族が周りで看取った場合はどうなのか
など、居室内でのパターンにより具体的に定義できないためです。
今現状は、殺人・自殺は心理的瑕疵だけれど、自然死の場合は気にするかどうか、という非常に曖昧な状態です。
今回は自然死ということを伝えた上で、再募集を予定しています。
今回の記事は以上となります。
孤独死を初めて経験し、対応できるか不安でしたが、なんとか最後まで対応がおわりました。
もし、大家さんの中で、孤独死があってお困りごとや今後の入居者さんの対応がご不安な場合は、弊社までお気軽にご連絡下さいませ。
経験したことから、お手伝いできることについてはお話しさせて頂ければと思います。